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シカから希少植物を守る「植生保護柵」とは?

 皆さんは「植生保護柵」を知っていますか?登山道で時々見かける高さ2メートル近くあるネットの柵を、ご覧になったことがある人は多いかと思います。これは主に近年増加してるニホンジカから、希少な植物を食べられないように守るため設置されたもので、「シカ柵」とも呼ばれています。

 この写真は奥多摩のとある場所にある「シカ柵」です。この写真を見て、何か分かることはありますか?

 実はこの場所、ニホンジカが周辺の植物をどんどん食べた結果、ニホンジカが入れない「シカ柵」の中だけ植物が残った様子です。シカ柵の外は太い樹木だけが残り、下草と言われる草本類はほぼ消えてしまっているようです。

 下草を食べる動物はニホンジカ以外にも、ニホンカモシカやキュウシュウノウサギなども周辺に棲息しています。しかしここ数年、東京都の山間部でニホンジカの個体数が増加していることや、ニホンジカと思われる食痕(食べた形跡)があちこちで多く観察されることから、ニホンジカから植物を保護することに重点がおかれるようになりました。

 檜原都民の森では、東京都環境局によって園内のあちこちにシカ柵を設置してもらい、希少な植物を保護しています。特にブナの路では東京都で絶滅危惧種に指定されているヒロハノツリバナだけを保護している「X番」のシカ柵も存在します。しかしながらこのヒロハノツリバナもニホンジカの影響以外にも環境変化などで年々衰退していき、園内では絶滅寸前となってしまいました。

 しかしながら「シカ柵」を増やせば希少な植物を保護できるワケではありません。

 神奈川県の丹沢のとある山の中では過去に設置されたシカ柵が誰も管理しなくなったために朽ち果て、山の中でゴミとなってしまった場所もあります。この写真は他にも間伐(かんばつ)といって植えすぎたスギを間引くために切った残骸が、そのまま山の中に放置され、山が荒れてしまった様子も見受けられます。ニホンカモシカが植物を食べつくしてしまう「食害」が無くならない限り、シカ柵は人間が管理し続けなければなりません。

 シカ柵を設置することは希少な植物を保護するだけでなく、未だ発見されていない植物やそれを必要としている生き物たちを10年後、100年後の将来へ環境ごと保護することにも繋がります。現代の科学では解明されていないような発見を、10年後、100年後の研究者が発見できるように環境を残せていけたら良いですね。今度、檜原都民の森へ登山で訪れた際は、ぜひシカ柵を気にして歩いてみてください!

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